億万長者の究極ブレンド

クレオ・コイル著、小川敏子訳『億万長者の究極ブレンド』を読み終えた。コクと深みの名推理シリーズ13作目だ。

億万長者の究極ブレンド (コージーブックス)

億万長者の究極ブレンド (コージーブックス)

 

もう13作目になるのか。ちなみに最新作は2019年8月に発売された17作目であり、まだまだ楽しめそう。これいつから読んでるんだろうか。初めは図書館で借りていたような気がする。大学生くらいか?

「ユンヨン」「アントチーノ」「ボンボン」―そんな誰も聞いたことのないコーヒーを注文しては、バリスタたちを困らせる客がビレッジブレンドに現われた。野球帽をかぶったその風変わりな若者の正体は、IT業界の革命児にして億万長者のエリック・ソーナー!彼のリムジンを狙った爆発事件がビレッジブレンドの目の前で起き、クレアは身を呈してエリックを救出した。そのお礼にと、エリックはクレアをNY随一の高級レストランに招待する。そこで彼は、金に糸目をつけない究極の「ビリオネア・ブレンド」の開発をクレアに依頼。まさに夢のような提案だった。けれど、目的のためには手段を選ばないIT億万長者たちのゴージャスで恐ろしい世界を垣間見たクレアは、ソーナーが本当にただの事件被害者なのだろうかと疑問を抱きはじめ…!?

新作が出るごとに長編になっていくのは気のせいか?ちなみに今作は529ページ。長いよ!まぁコーヒードリンクの説明や、物語に出てくるレシピ(材料がアメリカンで作れそうにないので想像するだけで楽しむやつ)にかなりのページ数を割いているんですけど。

主人公のクレアとその家族、ビレッジブレンドバリスタたち、と毎度おなじみのメンバーに再会できてうれしい気持ちで読んだ。今回は相手の億万長者が自家用飛行機を持っているので、舞台がパリに飛んだり、ほぼ世界一周のコーヒーツアーに飛んだりと盛り沢山で、中でも各地で生産されているコーヒー豆の情報については知らないことばかりで面白かった。コピ・ルアク、そうだったのか…。

物語や設定もアップデートされていて、シリーズが長く続いている理由はこれなのかなぁと思う。同じ時代に彼らは隣人としてそこにいるような気がするのだ。そして相変わらずクレアはモテモテである。彼女と出会った男の人が次から次へと彼女(と彼女が作るドリンクやペストリー)に魅了されていく。どんなアロマを振りまいているんだ、クレア。長年読み続けているがおこぼれはゼロである。