ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密

ポール・アダム著、青木悦子訳『ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密』を読み終えた。 

 400ページの文庫本を読み終えるのに二週間もかかっちまったよ。

名ヴァイオリン職人ジャンニのもとに、パガニーニ愛用の名器“大砲(イル・カノーネ)”が持ちこまれる。修理の翌日、美術品ディーラーの撲殺死体が発見された。彼はホテルの金庫に黄金製の箱を預けており、中にはエリーザという女性がパガニーニに宛てた古い手紙があった。これは事件解明の手がかりなのか?名職人にして名探偵が“悪魔のヴァイオリニスト”をめぐる壮大な歴史の謎に挑む! 

過去の登場人物のいとことか嫁ぎ先などが出てくると、少しずつしか読めなかったこともあるけれど、系譜図を頭の中でうまく描くことができなくてちょっとこんがらがりながら読んだ。殺人事件にまで発展することになったお宝の描写がすごく魅力的で、そりゃもう実物を見たくなった。物語が進んでいくうちに、パガニーニの生涯と、ロシアの若きヴァイオリニスト、エフゲニー・イヴァノフのこれまでの生き方が重なってくるとことがよかった。同じ大砲を弾いたもの同士。奏でられた旋律が異なるように、エフゲニーにはパガニーニと異なる良き未来を歩んでいけるといいな。ジャンニは相変わらず優しい。グァスタフェステの食事を心配しているとこなど、お父さんのようだ。